ドル・円は小動き、経済再開期待も米中懸念くすぶる

東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=107円台後半で小幅な値動き。経済活動再開への期待を背景に米株価指数先物や日本株が上昇する中、午前にはやや強含む場面も見られたが、海外主要市場が休みで市場参加者が限られているほか米中関係の緊張もあり、値幅は限定的だった。

市場関係者の見方

三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジスト

  • 緊急事態宣言解除への期待から株高で始まったことがドル・円を若干押し上げたが、海外の主要市場が休みとあって、その後は香港情勢などを気にしつつ小動きにとどまっている
  • そもそも4月以降の106-108円程度というレンジの上限に近いため、上抜けするエネルギーがない
  • 今後は5月分の経済指標で経済の底入れとそれなりの回復ペースが見えてくるかが焦点

みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジスト

  • 株の堅調と金曜に下をやって戻されたことによる手じまい的な買い戻し、あとは経済再開への期待でドル・円は少し上がったが一気に108円を突き抜けるほどの力強さはない
  • 米中関係は大きな問題になる可能性があり、香港株などがマイナスで推移していることもドル・円の上値を抑えているかもしれない

東京外為市場・15時=ドル107円後半、米中対立激化懸念で伸び悩み

[東京 25日 ロイター] –
ドル/円   ユーロ/ドル   ユーロ/円
午後3時現在 107.70/72 1.0886/90 117.26/30
午前9時現在 107.74/76 1.0906/10 117.51/55
NY午後5時 107.61/64 1.0900/04 117.31/35

午後3時のドル/円は、22日のニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル高/円安の107円後半。新型コロナウイルス危機後の経済回復期待でドルの下値は支えられたものの、米中対立の激化懸念から上値は伸び悩んだ。この日は英米市場が休場となるため、午後は参加者が減少した。

ドルは朝方の取引で107.78円と高値を付けた後、徐々に下値を切り下げ、仲値過ぎに107.63円付近まで下落。実需の散発的な売りが下げの背景とみられる。
ドル/円では「ポスト・コロナの経済活動再開への期待が世界各地で高まる一方で、米中対立の激化懸念も高まっており、下値は堅いが上値も重い状況が続きそうだ」(外為アナリスト)という。

ユーロは1.09ドルを若干割り込んだ水準を中心に取引された。「前週1.10ドル台に乗せたので、達成感から足元では利益確定売りが先行しているが、地合いは弱くない」(FX会社)という。

市場では、昨日香港で起きたデモと香港当局の対応も不安視されている。
「米中は新型コロナの発生源を巡る対立に加え、中国の香港統治に関する政治的対立もある。米中対立の激化はリスク回避要因で、従来のリスク回避のパターンを踏襲するとすれば、ドルも円も買われて、ドル/円相場は動意に乏しくなる」(FX会社)との意見が出ていた。
中国人民銀行が発表した人民元の対ドル基準値は1ドル=7.1209元と、2008年2月28日以来の元安水準となった。

香港では24日、中国の香港国家安全法制定に抗議するデモが行われ、警察は数千人規模のデモ隊を解散させるため、催涙ガスや放水砲を使用した。今回のデモは、中国が香港国家安全法を制定する方針を示したことに対する初の抗議行動。
米政府は24日、中国が香港国家安全法を制定すれば、米国は中国と香港に制裁を科す可能性があるとけん制した。

ドルの短期金融市場では指標となる3カ月物LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が5週間ぶりに上昇に転じた。
3カ月物LIBORは22日に0.36925%と前営業日比0.975ベーシスポイント(bp)上昇した。21日にも同0.15bp上昇した。21日の上昇は4月16日以来、5週間ぶりとなる。
ただし、4月16日の上昇は1日のみだった。今回はLIBORが底打ちしたのか、米国がマイナス金利を採用するとの期待からまだ低下するのか不透明だ。

香港デモ