来週は円高地合い継続か、米中対立は緩和せず

[東京 10日 ロイター]

– 来週の外為市場も円高地合いが続きそうだ。

米中通商協議で歩み寄りがあったとしても、多方面に渡る両国の対立が簡単に収束する可能性は低い。米政府がみせた強硬姿勢から、今後の対日交渉の厳しさを読み取る向きも少なくない。

予想レンジはドルが108.00━111.00円、ユーロが1.1000―1.1300ドル。

連休明け後、市場では円高予想が急速に勢いを増している。

多くの参加者が当面は小康状態とみていた米中貿易問題が、トランプ米大統領の発言を皮切りに急速に先鋭化し始めたためだ。

市場の動揺ぶりをよく示しているのが通貨オプション。

ドル/円のインプライド・ボラティリティー(予想変動率)の1カ月物は、連休前の4月19日に過去最低水準に迫る4.25%まで低下していたものの、連休明け後は窓を開けて上放れし、5月9日には今年1月以来となる7%台まで上昇した。

プットとコールオプションの格差を計るリスクリバーサルも、フラッシュ・クラッシュが発生した1月3日以来の水準へ到達。

一段のドル安/円高進行に強い警戒感が広がっている様子がうかがえる。

新生銀行市場営業部統轄次長の池田隆雄氏は、今回の交渉結果にかかわらず「貿易を含む米中の対立は今後も続く。中国が報復措置に打って出るようなことになれば、米企業の業績不安から米国株安が進む恐れもある。円は夏頃に向けて上昇しやすい地合いとなってきた」とみている。

トランプ大統領は9日、新たに3250億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する手続きを始めたことを明らかにしている。

しばらくは関連ニュースが市場を大きく上下に変動させる「ヘッドライン・トレーディングにならざるを得ない」(外銀)状況だ。

政治に注目が集まる時期は経済指標への関心が低下しがちだが、15日に中国で発表される鉱工業生産など一連の統計、米国の小売売上高、16日の豪雇用統計などを見極めたいとの声が出ている。

東京マーケット・サマリー(10日)

■レートは終値(前日比または前週末比)、安値─高値

<外為市場>
ドル/円    ユーロ/ドル   ユーロ/円
午後3時現在  109.73/75   1.1227/31   123.21/25
NY午後5時   109.75/77   1.1220/25   123.07/11

午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ同水準の109円後半 。
午後1時1分に発動された米国の対中追加関税を経て109円後半で軟化したものの、中国が直ちに報復措置を講じなかったこと、中国株が堅調に推移したこと、きょうの継続協議への期待感などから、下げ渋った。

東京株式市場で日経平均は5日続落。終値は3月29日以来約1カ月半ぶりの安値となった。
トランプ米大統領が週内の米中通商合意は可能との認識を示したことで、朝方は株価指数先物を買い戻す動きが先行した。

米中通商協議は継続との報道が出る中、上海株が上げ幅を拡大したことも支えになった。だが、米国の対中関税引き上げ期限となる日本時間午後1時01分が接近すると投機筋の先物売りが出て、後場から下げに転じた。

日経平均は一時200円超安となったが、大引けにかけて下げ渋った。

東証1部騰落数は、値上がり1055銘柄に対し、値下がりが1004銘柄、変わらずが81銘柄だった。

米中通商協議関連

《米中政府》
◎米、対中関税を25%に引き上げ 中国は報復表明
◎中国、米の関税引き上げに遺憾表明 「対抗措置を講じる」

《米の対中追加関税こうみる》
◎中国成長率を0.3―0.5%ポイント押し下げ=バークレイズ証 山川氏
◎世界経済、米大統領の想像以上に冷える可能性=住商 高井氏
◎米国優勢でも手放しでドル買えず=FXプライム 上田氏
◎世界・日本経済へ影響わずか、株安も米利下げで打ち消し=日本総研 牧田氏
◎対立は根深い、折に触れ円債を支援=みずほ証 上野氏
◎日米自動車交渉に不安、企業の調達網変更迫る=デロイトトーマツ 羽生田氏
◎日本の輸出には中立、ハイテク分野への追加制裁に注意=SMBC日興 牧野氏

《通商協議》
◎米中通商交渉、進展は皆無かほとんどない=ブルームバーグ
◎米中通商協議、1日目終了 米は制裁関税発動へ
◎米中、10日の通商協議継続で合意=ホワイトハウス

〔マーケットアイ〕外為:ドル109.70円付近で下げ渋り、中国株堅調と継続協議への期待

ドルは109.72円付近。

米国の対中追加関税措置を経て、ドルは一時109.67円まで下落した。

しかし、日経平均の下げとは対照的に中国株が前営業日比でプラス圏を推移していること、米国が追加関税を発動した後、中国が直ちに対抗措置を講じなかったこと、10日にも行われる米中通商協議への「かすかな期待感」(アナリスト)などから目下ドルは下げ渋っている。

もっとも、これから欧州勢、米国勢が為替市場に参入してくると「昨日つけた安値109.47円を攻略する動きが出てくるかもしれない」(同)といい、下値警戒感は依然根強い。

中国商務省は、米国が中国製品に対する関税を引き上げたことは「非常に遺憾だ」とする声明を発表し、対抗措置を講じる考えを示した。

対抗措置の詳細は明らかにしなかった。米中が互いに歩み寄り、協力と対話を通じて問題を解決することを期待すると表明した。